管理費の値上げにどう向き合うべきか(2)

2024年10月03日

 

管理費値上げの要因となる人件費

 

特に注目すべきは人件費の高騰です。

 

マンション管理の現場では、管理人や清掃スタッフの人件費が上昇しているにもかかわらず

管理会社側は十分な人員を確保できない状況が続いています。

 

理由としては、そもそも管理業務に従事する人材が減少していることに加え

待遇を改善しても魅力を感じてもらえないため、他業種に人材が流出してしまうからです。

 

例えば、多少賃金を引き上げて募集をかけたとしても、条件面で他の業界と比べて劣ると判断され

結果的に人員確保に失敗してしまうという事例も少なくありません。

 

こうした人材不足は、最終的に管理業務全体のサービス品質に影響を与え

物件所有者にとっての不安材料となり得るため、管理会社としてもサービスを維持しながらも

コストをカバーするために、やむを得ず管理料を値上げせざるを得ない状況が続いています。

 

 

 

働く人々

 

 

管理費値上げの歴史的背景―「デフレ時代の泣き寝入り」

 

また、今回の管理料値上げにはもう一つ見逃せない歴史的背景があります。

それは、バブル崩壊後の長期にわたるデフレの影響です。

 

バブル経済の崩壊後、日本経済全体がデフレの渦に巻き込まれ、不動産業界も例外ではありませんでした。

 

この時期、多くの管理会社は、物件所有者(依頼者)からの要望を受け、相次ぐコストカットの圧力にさらされてきました。

 

依頼者側も賃料や管理費を削減する動きが強まる中、管理会社は泣く泣く安い管理料を受け入れ

採算の取れない状況でも物件管理を続けていたという実情があります。

 

その結果、当時の管理会社は利益率が非常に低く、十分な利益を確保できない状態が長く続いていました。

 

さらに、業務を遂行するための人件費や建材費の上昇があっても、物件オーナーへの請求額を増やせずに

やむなく赤字で業務を回すケースも多かったのです。

 

このデフレ時代に培われた「安さ重視」の文化が管理会社の経営を圧迫し

労働環境の悪化やサービスの質の低下を招いたとも言えるでしょう。

 

こうした状況を考慮すると、現在のインフレと人件費の高騰は、ある意味で「長年の歪み」が表面化した結果とも言えます。

 

管理会社が値上げを求めている背景には、過去の不均衡を是正し

適正なサービスを提供するために必要なコスト構造への見直しも含まれているのです。

 

 

まとめ:インフレ時代にどう備えるか?

 

インフレの影響が不動産管理費用にまで及ぶ今、マンション所有者や賃貸マンションのオーナーは従来の管理プランを見直し

長期的な資産運用を見据えた対策を講じる必要があります。

 

 

値上げ通知が来た場合も慌てず、冷静に管理会社との交渉や条件の比較を行い、自身の資産を守るために最善の選択をしましょう。

 

皆さんも、もし今の管理費や修繕積立金が適正かどうか、不安に感じていることがあれば

ぜひ一度、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

 

 

また、他のオーナーの方々はこうした状況にどのように対応しているのか、気になるところです。